院長ブログ 07
当院をご利用の皆様
師走に入り急に寒くなってまいりましたが、体調にお変わりはありませんでしょうか。
これからもっと寒くなる季節ですし、コロナ対策で換気も必要な状況ですので
暖房と換気のバランスを取りながらお過ごしいただければと思います。
さて、寒くなってまいりますと鍋やおでんといった暖かい食べ物が恋しくなるとともに
お酒も活躍する季節ですね。
前回のブログはデジタルの話題で少し硬かったので、今回は日本酒のお話し第2弾をお届けいたします。
お酒の飲めない方々にはあまり関係ないかもしれませんが
豆知識として覚えておくと意外なところで役に立つかもしれません。
最近知り合いのある先生から“私はこのところ無濾過純米生原酒のお酒にはまっています。
「おいしいですよ。」と言われました。
この言葉には日本酒の種類を表す4つの言葉が入っていますがお判りでしょうか?
“無濾過”、“純米”、“生”、“原酒”の4つです。
前回の豆知識では純米と本醸造の違い、精米歩合の意味について解説しましたが、今回のキーワードは“火入れ”です。
日本酒は酵母菌を発酵して造られますが、加熱処理が加えられると、日本酒から酵母菌がいなくなり、発酵がストップします。
この加熱処理の事を「火入れ」と呼ぶわけです。
発酵が止まることで、日本酒の味わいを一定に保つことができます。
また、発酵を止めるのと同時に、火入れには殺菌の目的もあります。日本酒にとって大敵なのが、「火落菌」と呼ばれる乳酸菌です。
火落菌が日本酒に付着すると味わいが大きく損なわれてしまうため、火入れをすることで、この火落菌を死滅させるのです。
通常の日本酒の場合、お酒をしぼってから貯蔵する前と、瓶や容器に詰めて出荷する前の二度火入れが行われます。
なお、火入れと言うと、日本酒を直接火にかけて沸騰させる光景をイメージするかもしれませんが、そうではなく
湯煎で60-65度の温度で30分程度加熱する方法が一般的です。
温めすぎるとアルコール成分が飛んでしまうため、この温度を保つことが重要です。
また、長時間温めたままにすると今度は日本酒の香りが損なわれてしまいます。
そのため、火入れ後は速やかな冷却処理が必要となります。
先ほどの“生”というのはいわゆる生酒の事で、火入れを一切していない状態で出荷されたものを言います。
さて、火入れのタイミングや回数で以下のような分類があります。
生酒:製造から出荷までの過程で一度も火入れを行わない日本酒が生酒です。
加熱処理をせずに出荷され、しぼりたてのフレッシュな味わいが楽しめますが
一方発酵が進むため冷暗所での貯蔵は必須ですし、開封後できるだけ早く飲まないと味わいが変化してしまいます。
私自身、1月から2月の新酒の季節には非常に楽しみにしている種類のお酒です。
生詰酒:貯蔵前に火入れを行い、出荷前には火入れを行わない日本酒が「生詰(なまづめ)」です。
生酒同様にフレッシュで爽やかな味わいが特徴ですが、生酒よりも味が落ち着いていて、口あたりはまろやかです。
また、一度火入れをして発酵を止めてから貯蔵しているため、生酒と比べると品質が安定しています。
とはいえ、通常のお酒と比べると常温保存は品質が変化しやすくなりますので、冷蔵庫で保存することをおすすめします。
秋になると、「ひやおろし」「秋上がり」といった日本酒が出荷されますが
これは春に造ったお酒に一度火入れを行い、夏の間に熟成させて秋に出荷されるもので、生詰の一種です。
冷や(生)のまま、卸す(出荷する)という意味で「ひやおろし」、秋ならではの旬のお酒です。
生貯蔵酒:火入れを行わずに生のまま貯蔵し、出荷前に一度火入れを行う日本酒が「生貯蔵」です。
生酒の持つフレッシュさに加えてまろやかな口当たり、ふくよかな旨味が特徴です。
われわれ酒飲みの間では“なまちょ”と呼んで親しまれているお酒です。
出荷前に一度火入れしているため、生酒ほど徹底した品質管理は必要ありませんが、通常の日本酒と比べると味わいが変化しやすいと言えます。
生貯蔵酒も、できるだけ冷蔵庫で保管してください。
まとめると以下のようになります⬇︎⬇︎
貯蔵前火入れ | 出荷前火入れ | |
---|---|---|
通常の日本酒 | ||
生酒 | ||
生貯蔵 | ||
生詰 |
このように火入れ一つとっても日本酒にはいろいろな種類があり、その組み合わせで様々な味わいを楽しむことができます。
もちろん健康第一ですので量は控えめに、楽しく飲むことが大切です。
今回は火入れがキーワードでしたが
次回(初夏の頃でしょうか)は生酛、山廃など酵母にまつわるお話をしたいと思います。
冒頭申し上げましたようにこれから寒くなってまいります。
体調には十分留意の上健やかに年末年始をお過ごしください。